百地章日本大学教授の論に対抗の挑戦をした件について

2010/01/12 追記
当初、このエントリのタイトルは
百地章日本大学教授の論が粗雑な件について」
でしたが、

  • 「学説≠判例」の問題であること
  • まだ法律案が出てきていない以上、論評が難しい問題であること

を鑑み、タイトルを変更し、2文について抹消線にてエントリの
内容の撤回をしています。

【正論】≪マニフェスト原理主義か≫

 百地教授の前半部分(マニフェストや、政治家の発言部分)は、省略する。
 ここだけでも結構笑えるが、政治ネタは「政権党になったら、少しは考え方変えたんじゃねーの?」とか「オレ、そのソース知らないから、引用の引用でソースロンダリングじゃね?」とか、問題が発生しそうなので、論評の的からはずす。

例えば、地方選挙権を手にした定住外国人が大挙して国境の島、対馬(市)で住民登録を行い、市長選や市議選においてキャスチングボートを握るようになったら、どうなるだろうか。すでに韓国資本による土地の買い占めが進行しているという対馬の現状に鑑(かんが)みれば、これは決して杞憂(きゆう)とは思われない。

はい、杞憂です。

そうならないように、きちんと選挙に行きましょう。
何度も書いたけど、外国籍住民の一番多い自治体である群馬県小泉町でも、外国籍の住人は17%(ソースはこれで)で、さすがにキャスティングボートを握るのは難しいのではないかと。
(今、原文ママに、キャスチングボードと書こうと思ったらATOKに怒られた。)

選挙権を有しない外国人がわが国の選挙活動にかかわるのは公職選挙法違反である。

 どの条文が引っかかるかワカラン。
*1

が、もしこれが本当なら、マクリーン事件の人は、これに引っかけることが出来たぞ。
マクリーン事件
 無届転職、及びデモ活動(ベトナム反戦出入国管理法案反対、日米安保条約反対等のデモや集会に参加)マクリーンさんが在留期間更新をしようとした。
   ↓
 しかし、上記の理由で更新の許可を事実上しなかった。
   ↓
 裁判。最高裁の結果は、

  • 外国人の出入国及び在留の自由が認められているわけではなく、その判断は法務大臣の自由かつ広範な裁量に委ねられているものとした。
  • 外国人の人権保障が及ぶ範囲について判旨しています。いわゆる、外国人の人権享有主体性の問題の基本見解です。権利の性質上、日本国民を対象としたものを除き、外国人にも人権保障が及ぶとしました。

結論から言えば、外国籍でも日本国憲法の人権保障は成立するが、出入国及び在留については日本国の裁量に委ねられる、と。

日本国憲法は、選挙権が「国民固有の権利」(15条1項)であることを明記している。これについて最高裁は、「憲法15条1項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右権利の保障は、わが国に在留する外国人には及ばない」とした。また、「国」と「地方」は不可分一体であるとの認識のもとに、地方自治体の選挙について定めた憲法93条2項の「住民」も「日本国民」を意味しており、外国人に選挙権を保障したものではない、としている(最高裁平成7年2月28日)。

 それゆえ外国人に参政権を付与することは、たとえ地方政治であっても許されない。推進論者が引き合いに出す、「地方選挙権の付与は禁止されない(許容)」とした部分はあくまで「傍論」に過ぎず、しかもその内容は「本論」と矛盾しており、まったく意味をなさない。それどころか、むしろ有害といえよう。

 はい、原文。

憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。

しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。

以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決(前掲昭和三五年一二月一四日判決、最高裁昭和三七年(あ)第九〇〇号同三八年三月二七日判決・刑集一七巻二号一二一頁、最高裁昭和四九年(行ツ)第七五号同五一年四月一四日判決・民集三〇巻三号二二三頁、最高裁昭和五四年(行ツ)第六五号同五八年四月二七日判決・民集三七巻三号三四五頁)の趣旨に徴して明らかである。
参考 PDF

しつこいようだけど、憲法ってのは「国家権力を縛り上げる、権利章典」。
憲法上禁止されていない→そういう立法をやっても、問題はない。

もし、これをひっくり返すのであれば、以上のように解すべき〜にもあるように、過去の判例をひっくり返す用意をせなならなくなり…これも大法廷の用意がいるかもしれん。

選挙権を有しない外国人がわが国の選挙活動にかかわるのは公職選挙法違反である。それに、外国人には「わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす」政治活動の自由は認められていない(マクリーン事件最高裁昭和53年10月4日大法廷判決)。

まるで逆!
政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ。

 これが本当に憲法の先生なのか、ある意味で驚きだ。



 先生の名前でググったら、こんなのも引っかけた。


日本大学百地章教授「問題だらけの国籍法改正」
 昨年の違憲判決による国籍法改正にも発言してたようだけど、これは…。(参考

問題だらけの国籍法改正 ―慎重な上にも慎重に! 

■国籍法改正について

1、改正案の内容
・日本人男性が外国人女性の生んだ子供を「認知」するだけで、日本国籍の取得が可能に!
・改正案では、平成十五年一月一日まで遡って適用が可能に(附則第四条)

2、改正案提出の経緯 …今年六月の最高裁による国籍法違憲判決をきっかけに、密かに改正の動きが始まる!
・この事件は、不法滞在していたフィリッピン人女性が日本人男性との間に子供をもうけ、子供を原告として裁判を起こしたもの(「子供に日本国籍を」ということであったが、フィリッピンでは父母両系血統主義を採用しており、子供はフィリッピン国籍の取得が可能。原告の中には既にフィリッピン国籍の取得者もいた。しかも国籍法上、「簡易帰化」の道が開かれているにもかかわらず、原告らはあえてこの裁判を提訴)

・判決は、確たる根拠もないまま「家族関係の多様化」などを理由に、現行国籍法を違憲としてしまった

■なぜ問題か?
1、「国籍取得」とは、「政治的運命共同体としての国家」のフルメンバーとなることである。にもかかわらず、日本人男性による「認知」だけで簡単に「日本国籍」を与えてしまうのは安易にすぎ、危険である
(1)「国籍の重み」を無視した安易な改正は、「国家の尊厳」や「国の重み」が分っていない証拠ではないか
(2)「国籍の取得」は「人権」問題ではなく、「主権(統治権)」の問題である。つまり「国籍の付与」は国家による「主権の行使」であって、外国人に国籍を付与するかどうかは各国が自由に判断できる。それゆえ、外国人には「入国の自由」と同様、「日本国籍を取得する権利」など認められないから、「差別」問題など生じない 
(3)改正派は「子供のため」というが、実際には「子供を利用」した日本国籍の取得が横行する危険性がある 
   
■2、なぜ改正を急ぐのか? 
(1)一般論としていえば、最高裁違憲判決が出た以上、国会は速やかに法改正を行うべきである
(2)しかし、判決自体にさまざまな問題点が含まれているような場合は、違憲判決が出たからといって、国会がやみくもに法律の改廃を行ってしまうのは疑問であり、慎重に審議すべきである!
・刑法二〇〇条の尊属殺規定についていえば、国民の多数が廃止に反対していたことから、違憲判決(昭和四八年)後、三十五年間も改正されず、平成七年、刑法の全面改正と共に削除された。また、衆参両院の議員定数については、最高裁違憲判決が出ても、国会は中々、公選法を改正しようとしなかったではないのか?

■3、衆議院では、反対の声を無視して簡単に可決してしまったが、「良識の府」たる参議院においては、是非とも慎重審議を! 万一、改正が不可避であるとしても、せめて「見直し規定」を。さらに「偽装認知」つまり「認知の悪用」を防止するため、例えば「DNA鑑定の採用」や「父子関係を証明するに足る必要な書類の提出」を義務付ける等、厳格な手続きを採用すべきである!

(1)諸外国の現状 …牧原秀樹議員の報告では、すでにイギリス、イタリア、オーストリア、オランダ、スウェーデン、ドイツ等では、移民家族の受け入れの際、DNA鑑定を実施しているという(http://abirur.iza.ne.jp)  
(2)「DNA鑑定」採用慎重論について
・親子関係の確認のためDNA鑑定を持ち込むことについては、民法では行っていないことを理由に慎重論も存在するが、一方は「戸籍」の問題であるのに対して、本件は先に述べた「国籍」の問題であって、次元が全く異なる。つまり、本件における「認知」は民法上の認知と異なり「国籍取得の条件」とされており、直接「主権の行使」につながる。しかもわが国籍法は「血統主義」を採用しており、本件の場合のように、婚姻関係がなくても「認知」だけで国籍を付与してしまおうというのであれば、DNA鑑定の採用は決して怪しむべきことではなかろう。したがって「偽装認知」の横行が懸念される以上、「認知」のための手続きを厳格に定めることは、国益上、当然のことと思われる (日本大学教授 百地 章)

 こんな粗雑な理論の上に、国籍法改正論議はなされてたのか(絶句)
 何度も書くのももはやアレだからエントリはやめておく。

 実はエントリの用意はしてたが、あまりにも蛇足すぎた。また例によって、一行ごとに突っ込めた。

*1:西田三郎氏の見解では、(選挙権及び被選挙権を有しない者の選挙運動の禁止)
第137条の3 第252条(選挙犯罪による処刑者に対する選挙権及び被選挙権の停止)又は政治資金規正法第28条(政治資金規正法違反による処刑者に対する選挙権及び被選挙権の停止)の規定により選挙権及び被選挙権を有しない者は、選挙運動をすることができない。
 が、引っかかるらしいが…そもそもこの法律日本国籍を有する者が前提条件だからなぁ…
(選挙権)
第9条 日本国民で年齢満20年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。