「ひとかけらの希望」 (続×3:ぼくらの未来は光にみちているか)

 終われなかった。
 読売の社説が暴走していた。

性教育判決 過激な授業は放置できない(3月16日付・読売社説)
 東京都議の言動に行き過ぎた面はあったかもしれない。しかし、政治家が教育現場の問題点を取り上げて議論し、是正していくこと自体は、当然のことと言えるだろう。

 都内の養護学校の教員らが、学校を6年前視察に訪れた都議から不当な非難を受けたと訴えていた裁判で、東京地裁は3人の都議と都に対して損害賠償を命じた。

 養護学校では、性器の付いた人形を性教育の教材として利用するなどしていた。都議らは教員に向かって「感覚が麻痺(まひ)している」などと批判した。

 その是正の手続きが、異常だと何度書けば…。
 荻上チキさまの 七生養護学校の件について の記事から時系列を拾うと、

(これ以前については、都教委が、性教育のやり方について評価していた

  • 2003年2月23日 産経新聞が、「《主張》性教育 児童に過激な内容は慎め」にて、「性器の名称を教える」「性交について出題した」「性器が映った無修整の出産シーンが入ったビデオを見せた」と記述
  • 2003年7月2日 産経新聞が「『性的虐待アニメビデオ』で性教育」という記事にて、「都内の公立小中学校や養護学校で計十一件の不適切な性教育が行われていたこと」、「事態を重く見た都教育庁は近く調査に乗り出す方針」と記述するなど、いくつかの論点が加えられる。
  • 2003年7月2日 東京都議会定例会にて、土居たかゆき議員、これを受けた発言。同日、都知事非難、教育長は

「ご指摘の歌の内容は、とても人前で読むことがはばかられるものでございまして、男女の性器の名称が、児童の障害の程度や発達段階への配慮を欠いて使用されている、極めて不適切な教材でございます」と言及。

  • 2003年7月4日 東京都立七生養護学校古賀俊昭田代ひろし土屋たかゆきの各都議会議員、町田の大西宣也市議、日野の渡辺眞市議、杉並の松浦芳子区議達と、東京都教委、産経新聞の記者達計17名が「調査」に入る。
  • 2003年7月5日、産経新聞が「まるでアダルトショップのよう」と言及。
  • 2003年7月9日 都教育委員会が「事情聴取」を行い、性教育についての教材145点を押収。
  • 2003年9月   都立養護学校の教員の大量処分がなされる(22校の校長、教頭、教員計102名を減給あるいは戒告、厳重注意処分。但し、性教育の実践内容については処分なし)。

 2月から7月の間に、教育庁は調査を行うなり、場合によっては校長を呼んで事情聴取なりしておいて、是正を求める、というのなら話はわからないでもない。
 議会から2日後では、いきなりか?との疑念はぬぐえないし、教育長は今までの評価を議員・知事の前にあっさりと捨て去ったとしか思えない。

 よって、

だが、都にそこまで教員を保護する義務があったのだろうか。

は、失当。

当時は、「男らしさ」や「女らしさ」を否定するジェンダー・フリーの運動とも連携した過激な性教育が、全国の小中高校にも広がっていた。

 それはジェンダーレスであって…と。しかも、この社説の卑怯な点は、「養護学校」とだけあって「知的障害」という点が見事に落とされている。なんじゃそれは!
 特殊なケースを持ってきて、しかも人形をさらし者にしておいて、異常な教育でござい〜としておいて、結局は「ヤるな!」とおどしておけばよろし、とでも?