神のモノは神に、カエサルのモノはカエサルに

というわけで、入手。

幸福実現党宣言 -この国の未来をデザインする (OR books)

しかし、もう古本市場に流れてるとは…
まぁいいか。

さて、この本だけど、内容はまさに宗教右派。笑っちゃうくらいに、憲法改正すべき点(9条、20条、89条)が自民党の其れと一緒だし、対中国・北朝鮮論もなんか良くその手合いの新聞や書籍で見てる。マッカーサーの日本は12歳発言の勘違いも引き継いでる。
(つまり、独と違って日本はやんちゃをやってしまった若い国で、今後学んでゆけば…という、擁護発言)

 ただ、以外にも、というと怒られるが、以外にも枝葉末節は真っ当。

たとえば、

憲法そのものが、主として権力者から国民の権利を守るために作られたモノであって、国民を縛り付けて、自由にさせないために作られたモノではないのです。(P89)

これはまさにその通りで、「今の憲法には権利ばかりで義務が少ない。だから自分勝手な人間が増えた」という櫻井よしこ氏や(参考)、自由民主党改正案の12条のごときシロモノがよっぽどトンデモになってまう。

ただ、ここで国家権力として縛るべき対象が、公務員に限定されていて、立法や司法の暴走を縛るという点がもげてるのが、なんだかよくわからない。

国家元首について、

「誰が意志決定をするのかわからない」と言われているのです。
「意志決定者をはっきりさせなさい」と言うことです。

もし内閣総理大臣が元首であるのなら、そちらと交渉すれば全部決まるわけですから、そうであれば、天皇陛下は文化的存在としてお祭りすればよいわけです。
(略)
私としては「内閣総理大臣のほうに元首としての責任がある」と明確にしてもかまわないし、あるいはできれば大統領制を敷いた方が良いのではないかと考えています。(P56-57)

えーと。英国は?こっちはやる気ならば相当に強力な手を下すマネも出来るけど、実際には行使しないという状態。
(英国連邦に至っては、実際には権力を発動することはないとはいえ、英国女王が元首で、その代理人たる総督が元首権をもってる)
英国や、オーストラリアで意志決定者をうんにゃら、というのは正直聴いたことがない。

日本では、一応立憲君主制と政府答弁ではなっており(象徴君主制であるという説もあるが、ここでは置いておく)、大統領は共和制(君主を置かない)となっていて、このあたりをどう考えているのかは、見事にボカされてる。



それとこれは、宗教系故のモノとはいえ、「唯物論マルクス主義=資本主義陣営の敵」というドグマに縛られてるという弱点が、大きく存在している。
唯物論者でもバリバリの資本主義陣営の人、というのも存在するわけで、果たしてどうしたものか。

あとは、これは私の持論。

幸福というのを規定されるのは、正直イヤだ。
また、オールオブハッピーは存在し得ない(たとえば、私の贔屓とするサッカークラブが優勝でもすれば大いに幸福ではあるけど、その幸福を享受できるのは1つだけ、となるでは?)。