新・日本国憲法??

 亮一(ギッチョ)さまの、破壊屋_2009年の日記_幸福実現党の新・日本国憲法をみて、腰が抜けんばかりの大笑い。

 はてブだけでは、字数制限でアウト。
 ちょっと盛大に突っ込もう。

===
新・日本国憲法

幸福実現党創立者
大川隆法試案

前文
われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、ここに新・日本国憲法を制定する。

第一条
国民は、和を以って尊しとなし、争うことなきを旨とせよ。また、世界平和実現のため、積極的にその建設に努力せよ。

第二条
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。

第三条
行政は、国民投票による大統領制により執行される。大統領の選出及び任期は、法律によってこれを定める。

第四条
大統領は国家の元首であり、国家防衛の最高責任者でもある。大統領は大臣を任免できる。

第五条
国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織する。また、国内の治安は警察がこれにあたる。

第六条
大統領令以外の法律は、国民によって選ばれた国会議員によって構成される国会が制定する。国会の定員及び任期、構成は法律に委ねられる。

第七条
大統領令と国会による法律が矛盾した場合は、最高裁長官がこれを仲介する。二週間以内に結論が出ない場合は、大統領令が優先する。

第八条
裁判所は三審制により成立するが、最高裁長官は、法律の専門知識を有する者の仲から、徳望のある者を国民が選出する。

第九条
公務員は能力に応じて登用し、実績に応じてその報酬を定める。公務員は国家を支える使命を有し、国民への奉仕をその旨とする。

第十条
国民には機会の平等と、法律に反しない範囲でのあらゆる自由を保障とする。

第十一条
国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し、国民の政治参加の自由を保障しなくてはならない。

第十二条
マスコミはその権力を濫用してはならず、常に良心と国民に対して、責任を負う。

十三条
地方自治は尊重するが、国家への責務を忘れてはならない。

第十四条
天皇制その他の文化的伝統は尊重する。しかし、その権能、及び内容は、行政、立法、司法の三権の独立をそこなわない範囲で、法律でこれを定める。

第十五条
憲法により、旧憲法を廃止する。本憲法は大統領の同意のもと、国会の総議員の過半数以上の提案を経て、国民投票で改正される。

第十六条
憲法に規定なきことは、大統領令もしくは、国会による法律に定められる。

 これは、すごいなんてもんじゃない。

 先ずは義務に関わる部分を。
 前にツッコミの対象とした、「幸福実現党宣言」の「憲法は国家権力を縛るためのモノ」。そこいらへんを検証することから。

  • 国 民=和を以って尊しとなし、争うことなきを旨

   世界平和実現のため、積極的にその建設に努力(第1条)

  • 公務員=国家を支える使命を有し、国民への奉仕をその旨(第9条)
  • 国  家=常に、小さな政府、安い税金を目指し、国民の政治参加の自由を保障(第11条)
  • マスコミ=権力を濫用してはならず、常に良心と国民に対して、責任を負う。(第12条)
  • 地方自治=国家への責務を忘れてはならない。(第13条)

 呆れるほどに、権利章典としての憲法が存在してなくて、「国民を縛るためのモノ」になっている。

「法律に反しない範囲でのあらゆる自由を保障(第10条)」ってのは、法律の範囲という留保をもつアタリ、 基本的人権は全て国家の元の制限下、で、生まれながらのモノでは無いわけですか、こりゃまいったな。
(しかも、「権利」の文字が無い!)

 職業選択や教育、神仏以外の宗教を信じる(あるいは信じないことも)内心の自由は?(オレは神仏の子ではなくて、サムシンググレートたる、スパゲティモンスター様によって創造された、選ばた民たる、海賊の子、と信じてるが、さてどうしたものか)

 そしてそして。国家権力側の憲法擁護義務が、これしかない。
「国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し、国民の政治参加の自由を保障しなくてはならない。(第11条)」
 小さな政府、安い税金を目指す、という以外のことは、守る必要など無い、と宣言したも同然。
(そして、「小さな政府」や「安い税金」の定義はなんぞや?国会議員の数を減らしまくって、役人減らしまくって、大統領に権力をまとめれば「小さ」くはなるわな。)

 次。国家権力の強さ
 大統領にとてつもない強大な権力が与えられている件について。

「行政は、国民投票による大統領制により執行される。大統領の選出及び任期は、法律によってこれを定める。(第3条)」
 任期が無いと言うことは、法律によって終身大統領になる事も可能、と言ってくれてるようなモノ。
(任期、によって国家権力を縛ってるわけだが、縛りようがないぞ、これでは)
 さらに、この法律の位置づけではあるが、

大統領令以外の法律は、国民によって選ばれた国会議員によって構成される国会が制定する。国会の定員及び任期、構成は法律に委ねられる。 (第6条)」
大統領令と国会による法律が矛盾した場合は、最高裁長官がこれを仲介する。二週間以内に結論が出ない場合は、大統領令が優先する。(第7条)」
 違憲立法審査権もなければ、大統領令>>法律。これってなんて絶対君主制国家ですか??
 国会議員も終身制が効く含みがあるわ(イングランド貴族院てのはあるにしても、今はいわばご意見番憲法擁護義務は笑っちゃうほど無いわ、「定員1」てのも効きそうで怖い。それも大統領令によって。
違憲大統領令審査権も、見事に無し。つまりはやりたい放題が効くと言うことに)

 さらに。この憲法の改正方法がない。(この憲法の条文改正方法がどこにもない。日本国憲法を超える超硬正憲法
 現行憲法からの改正方法は存在してるが、その方法も現行憲法に反してる。

日本国憲法96条
1. この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2. 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

 特別の国民投票、については、国民投票法として出来ている。そしてさらに。

日本国憲法98条
この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

 あー、こりゃあ日本国憲法98条により違憲、ですね。第15条は。

 他にも、
第1条で「争うことなきを旨」とするはずが、第5条では「陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織」とあり、しかも先制攻撃もアリと言わんばかりの表現もある(参考)争う事なきを旨として、争いをやっている。さあ軍人さんはどうする??

とか、

最高裁長官は、法律の専門知識を有する者の仲から、徳望のある者を国民が選出」というが、徳望ってなんぞや?お国から名簿でも出されるのかな?

とか、

「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」というが、と同時に教義では最澄は魔界に落ちてるらしい(参考)→天台宗の宗徒は?信教、とされないで弾圧まっしぐらなのかいな?

とか、

天皇制その他の文化的伝統は尊重する。しかし、その権能、及び内容は、行政、立法、司法の三権の独立をそこなわない範囲で、法律でこれを定める。(第14条)」
とはあるが、大統領令により天皇制廃止するということも可能と読める(大統領令の守備範囲が書かれていない以上、そう見なせる)

とか。

 この手合いのヒトタチの理想国家は、北朝鮮、という笑えない冗談があったが、どうもそんな気がしてきた。

 何が言いたいかというと…いろいろ問題があっても、日本国憲法万歳!