マリー・アントワネットのお菓子論法
「○○ならありうるメゾット」、古典的?なモノでは「福島瑞穂の迷言」がそれに当たりましょうか。
まぁこの考察の行方は、荻上チキ氏のエントリにありますが。
コピペを元に「これだから○○は」みたいな大雑把なラベリングに基づく中傷ネタとして盛り上がるだけでなく、このようなコピペを取り上げて国のあり方を憂うというようなポーズ、あるいは「真実」を知らない人を嘲笑するというポーズをとる人が非常に多いこと。
あーこれはまさしく、「小沢の口蹄疫消毒薬横流し」と口コミの怖さ ですな。
安西先生ならずとも「まるで成長していない」と書き込みたくなる。
「デマではないか」という懐疑が示されたときによくあるパターンとして、「福島ならありうる」「たとえそれがデマがあってもイメージによってそれが真実と思えるから社民党のせい」という発言や「いちいち調べないと自由に文章を書いてはいけないのか」という反応も結構多く見受けられます。もちろん私は、前者はスケープゴートを正当化してしまうロジックなのでまずいと思うし、後者は根拠なき中傷や差別を拡大再生産するくらいなら黙ってもらったほうがよいと思っています。
これもあった。もちろんネタの可能性もあるけど、「小沢の口蹄疫消毒薬横流し」拡散元のコメントに
そんなわけないですよ。マスゴミが真実を明かすわけないじゃないですか。デマでも、宮崎の農家さんの役に立たない情報でも、民主党政権を倒すためのウソならガンガン流すべきです。
- 小沢ならあり得る
- たとえそれがデマがあってもイメージによってそれが真実と思えるから民主党のせい
…安西先生ならずとも(ry
情報の取捨選択に認知バイアスがかかり、「都合のいい情報は裏取りせずに急激に拡散されていく」という好例です。
その例は、ワタシも一度エントリにしている。池田整治氏の「マインドコントロール」P86で、
日本など、あと20年もしたら世界地図から消えて無くなっていると、1995年、豪州のハワード首相と会見した李鵬首相が、こう発言したという。
とあったのを、何とか武藤嘉文・笠原潤一の両議員が
「1995年、豪州キーティング首相から、『(この間(?))40年(もしくは30年)後に「日本はなくなっているだろう」と李鵬首相は発言した。』という話を聴いた。」
が元ネタだろう、と、言う考察をした。
ところが、いつの間にやらハワード首相になり(ハワード首相の就任は1996年3月11日)40だか30年だかが20年に縮み、「中国かあるいは韓国ないしは朝鮮の属国にでも〜」という尾ひれがくっついている。これも、また「福島瑞穂の迷言」拡散で見られた話。
「小沢の口蹄疫消毒薬横流し」拡散元に、ニセ科学バスターの手法を適用すると…これはえらいことに。
1)話の出所を確認する
→ネタ元が存在しない!拡散元は原典のリンクやスクリーンショットの提出について、むしろ消極的。
2)誰が言っているのかを調べる
→さらに言えば。「拡散希望」で、googl検索をすると上位情報には、ある一定の傾向が、存在する。
3)キーワードに注目する
→「民主党」「中国韓国北朝鮮」「小沢一郎」は、通算何度引っかかるんだろう?
4)反論に目を通す
→ビルコンだけではないよ、という話。
5)数字に注目する
→横流しした薬剤の量がショボすぎる。
6)理屈で考える
→JAの支店名をまちがえるかなぁ?おまけにずいぶん知り合いが多すぎるような。
7)実験をやってみる
8)自分の目を疑う
9)願望と事実を区別する
10)正しい科学知識を身につける
正直強引な部分もあるが、ヘタすれば10項目全部ヒットさせられるかもしれない。
…と、ここまで書いてきて、このエントリのタイトル、いいものを思いついた。
「マリー・アントワネットのお菓子論法」
マリー・アントワネットは、フランス革命前に民衆が貧困と食料難に陥った際、「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」と発言
もっとも、これ自体、ルイ16世の叔母であるヴィクトワール王女の発言説はあるわ、「お菓子=ブリオッシュ=出来の悪い小麦を工夫して食べよう、位の意味しかなかったんじゃね?(これは「マリー・アントワネットの料理人」が原典)説はあるわ、元々、ルソーの『告白』のうち1766年頃に書かれた文章のなかで、「さる大公婦人」が発言したのが元ネタ(マリー・アントワネットの生年は1755年だから、これが元ネタなら書かれた時点でマリー11歳では話にならん。)説等々。
もっとも、「発言しなかった」モノの原典に当たるのははっきり言って「悪魔の証明」以外の何者にもならず、「一応疑問符つけておく」で、ストップ。
そして、元々の浪費癖や革命時の行動が相まって、「マリーならありうる」と連結され…明確な発言の証拠もなく今に至る。
このたびの「小沢の口蹄疫消毒薬横流しデマ」も、先の「こども手当で百人単位の養子縁組」も、これで説明がつくような気がしてきた。