しつこくも、 昨日はゲーム脳、今日は地球温暖化懐疑論

 産経新聞の科学部よ、異常はないか?


携帯型ゲーム所持率7割超 小中学生進む依存、麻雀や大人向けエロゲーも


 先のエントリでも、「アンケートの項目がダメダメ×考察がひどい×コメントをもらう識者を間違えた」という救いようのないダメ記事、と叩ききったわけだが…いや、「エロゲー」という元のアンケートにもない表記を使っているところで、目を引こうとする作戦を取って大自爆。


 これはあるいは、Web 記事に強い産経新聞が「これはひどい」タグを打たせて、PTAアンケートがいかにダメダメなシロモノかと言うことを訴えようとした、記事で…いや、森教授を引っ張り出したところでそれはないな。


 先の記事で書き足りないことが続発した。
 Elekt_raさまのエントリ、


「麻雀ゲームは発育に支障」と報じた産経新聞に井出洋介プロ「フジテレビは有害テレビ局なんですね」(Fabrication, Record)

で、ハタと気がついた。



麻雀とエロゲを並列にした理由は、まさか「脱衣麻雀」を連想したからか?


 お約束のCEROのタイトル検索で「麻雀」を検索ワードにしてみたら、ヒットは61。しかし、いま町中で出来る麻雀ゲームというと、「麻雀格闘倶楽部」だろうけど、これはA(全年齢)。しかもあらかた全年齢で、それでも探すと

  • 萌える麻雀 もえじゃん!=C(15歳以上)&コンテンツアイコン「セクシャル」

キャラの服装が引っかかった?のか、ギャルゲーと同じ理由によるものか。

 あと、キーワード=麻雀で引っかからなかったけど、「咲 -Saki- Portable」も、上記と同様に、C(15歳以上)&コンテンツアイコン「セクシャル」。

  • 高レート裏麻雀列伝 むこうぶち 〜御無礼、終了ですね〜
  • SIMPLE DSシリーズ Vol.44 THE ギャル麻雀
  • SIMPLE2500シリーズPortable!! Vol.8 THE どこでもギャル麻雀

 この3つがD(17歳以上)。後者2つはPSPかDSかの違いなので、まとめます。前者はストーリーに「賭け麻雀」があって、ギャンブルコンテンツ扱いで。後者は…表現はエロイのが事実だが、

麻雀や大人向けのアダルトゲームなどと答えている

と十把一絡げにするのは、そりゃ強引矢のごとし。
(アマゾンのレビューによると、後者の出来は相当にひどそうだな…)

結論1:携帯型ゲーム機用の麻雀ゲームは、ほとんどがボードゲームとしての麻雀。

この記事の連想するような表現のエロイソフトはそうそうない。


 咲 -Saki- の場合、パンチラ表現すらないわけだが…これはまた別の話。


 それでは。
 PCゲームならどうか。DMM の通販サイトをさっき見てみた(よい子は絶対にやっちゃダメだよ)。

結論2:PC用の麻雀ゲームは、もはや「ギャルゲーメーカーの、ファンディスクとしての扱いがほとんど。

メインストリームでは、すでにない。


 ファンディスクとして、もう一儲け、と安易にたよるメーカーの続発のせいか話半分とはいえこんな考察までされる始末。

 そしてまさかとは思うが。この記者は「麻雀=脱衣麻雀」というイメージが抜けていないんではないか?と。しかし、業界団体の規制が厳しくなってる今となっては、Elekt_ra さまの、

「不良の温床=ゲームセンター」で脱衣を見たからという、昭和の懐かしい思い出がぶり返し
参考

の考察に一票を、入れたくなる。


 さて、再び産経新聞の記事に戻る。

一方、こうした傾向に伴い、保護者の不安も大きくなりつつある。子供の教育で最も困っていることに「ゲームの悪影響」を上げる保護者は6・9%に上り、「携帯電話を持たせることへの不安など」と回答した保護者(5・7%)を上回った。
(参考)

やっぱり原典に当たる。社団法人日本PTA全国協議会>21年度-子どもとメディアに関する意識調査(PDF:かなり重い)を。

 記事の元ネタは、PDFでは192ページ目(冊子では186ページ)にあり。


 具体的記入欄で、たしかにゲームの悪影響がトップだけど、果たして「保護者の不安も大きくなりつつある」は妥当な考察か。


 別のアンケートの項目で、これを見つけたが危うく大爆笑するところだった。オレの吹き出したコーヒーに対して、謝罪と賠償を要求する(嘘)。
 アンケートの設問は、

 あなたはお子様がメディアを視聴する、または使用することについて、それぞれどのように考えていますか?
 PDFでは190ページ目(冊子では183ページ)を参照あれ。

 おいおいおい!ゲームの使用を、「あまり良くない&全く良くない」とした回答者が一直線で減る一方。

 これで大きくなりつつある、って、どういう考察?


 えー、とどめの森教授についてですが、批判はあちこちでなされているので、これで。

 ハコニワのアルファさまのまとめられた、ゲーム有害言説史より。

ゲーム有害論者の特徴

  • ゲームの多様性を無視する
  • ゲームの有害性を示す実験の手法がおかしいことに気がつかない
  • 信用できない統計を持ち出す
  • 事件の原因をゲームと断定する
  • ゲーム業界の陰謀論を持ち出す
  • まともな学会で論文発表しないで本でゲーム有害論を広める
  • 「子どもがどうなってもいいのか」と子どもを守るためだと主張する
  • 自分の言説を批判する論者は認知症などの知的障害者認定をする

参考

 これに全部当てはまる、とんだニセ科学における駄目な部分全てが当てはまると言うしか。


 さて。最後に。この「21年度-子どもとメディアに関する意識調査」の中に、こんなアンケートの設問と回答があったので紹介。


 マスコミの情報を鵜呑みにせず、批判的にとらえる情報リテラシーを身につけさせたい、で「非常に&ややそう思う」としたのが、親の7割強。

 確かに批判的にとらえることは大事だ。この記事を鵜呑みにするのが出るのは非常に危険だ。