トンデモをバスターするはずが、バスターの手段を間違った

怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。 

 トンデモバスターが、バスターの快感に溺れ、ダークサイドに墜ちる者も少なくない、と書いたことがある。
 しかし自分もそれをやってしまった。

 これは「赤っ恥」もの故に、ここに晒す。

 詳細は、こちら。碧猫さまの それは多分「真実」ではない可能性が非常に高い(その1) のコメント欄にて。

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日本語は母音言語であり、音域、つまり波動数が125Hzから1500Hzの低音域。
(略)
ところが英語は2000Hz以上の高周波数
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 とすれば、ドイツやロシア人もわびさびを理解できることに
(優先的に使う周波数がほぼ一緒)
http://www6.big.or.jp/~1happy/syuha.htm

ところが。このURL がまずかった。「トマティス理論」によるものを引っ張ったようで。お約束のGeNiiで探ったのだけど、

[http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/20520506:title=英語リスニングでの閾値仮説とボトムアップ処理:高周波音域弁別と子音聞き取り能力
]
という論文を引っかけた。これが今のところ最新版のようで、これによると。

英語のリスニングにおいて「高周波音域の聞き取り」を問題としている学習法として「トマティスメソッド」「傳田式」「英語耳」などを、文献をもとにその内容および理論背景の信ぴょう性について審議した。その結果、これら市販の教材の説明にある「英語は子音中心の言語であるため、その聴解は高周波音声の聞き取りを必要とする」とする説明はかなり粗雑であることがわかり、さらに音響音声学の文献にあたった。音響音声学の音素弁別実験の結果などとも合わせ、確かに高周波の音声素性がリスニングのボトムアップ処理に影響を及ぼしている可能性は示唆された。しかし「高周波音声」の聞き取りといっても「音の知覚」が問題なのではなく、音素のカテゴリー知覚、その中でも「時間分解能」の重要性に着目すべきであることが、本年度の議論で明らかになってきた。さらに聴解の情報処理モデルを用いると、音素のカテゴリー知覚はより高次の情報単位である「単語」や「文」という意味の塊によってoverrideされる可能性が高い。

  • 「トマティスメゾット(他)」の言う、英語は子音中心の言語であるため、その聴解は高周波音声の聞き取りを必要とするとする説明=かなり粗雑

→とすると、池田氏の言う「母音言語」説は、ここで崩壊。

  • 確かに高周波の音声素性がリスニングのボトムアップ処理に影響を及ぼしている可能性は示唆された。しかし「高周波音声」の聞き取りといっても「音の知覚」が問題なのではなく、音素のカテゴリー知覚、その中でも「時間分解能」の重要性に着目すべき

→とすると、「音」の周波数の影響力は少ないとみるべし。まして「波動数」と書いている時点で、トンデモと知るべし、であった。

 と、こちらでバスターをかければよかった…が、バスターのネタ元がトンデモだった時点で、結果はともかくバスターの手法に問題大あり。

 ああ、失態。